松浦浩之 「SUPER ACRYLIC SKIN - TOKYO-GA」展

カラーリスト川口です。


DADA CuBiCが原宿のキャットストリート沿いにあったのが20年も前、

(自分がまだアシスタントの時)


そんな原宿にお店があるときからお客様として来て頂いている、

松浦浩之さんの個展

「SUPER ACRYLIC SKIN - TOKYO-GA」展

へ行って参りました。


場所は銀座にある東京画廊。

INFOはこちら。


作品を目の前にし、作者から話を聞けるなんて滅多にない機会。

遠慮なく、いろんな事を聞いてみました。



最近のアートシーンの傾向、それに対して松浦さんが感じて今回の個展にのぞんだ意図。


「もはや、漫画、アニメ、イラスト、そしてアート、

時代的にそこには境界線があってないようなものになってきている。

であれば,文字を入れたり、ファッション性を表現したり、これまでに自分のなかでNGにしていた事をOKにして描いた。」


芸歴20年になる今年だからこそ、これまでこだわってきた自分の型を一度外し、

新しいことに挑戦できたのが、今回の個展の作品になるそうです。



遠慮を知らないカラーリスト達は、

ずけずけといろんな事質問してしまいました。


「作品制作の中で何が一番大変ですか?」


「この靴はなにから、イメージしたものですか?」


「なぜここはこの色なんですか?」


「どれくらいのペースで作品が完成するんですか?」


「このヘアスタイルは何をイメージしているんですか?」



本来ならアートは制作の過程を探るのものではないのでしょうね。

見る側が色々な事を想像し感じるべきところですが、

こんなド素人的な質問に

作品一つ一つを丁寧に嫌な顔一つせず説明してくれました。

いろいろ質問したなかで、

松浦さんの今回の作品に対するコダワリポイントをまとめてみました。



まずは

LED照明が当たり前になってきた近年、見えづらくなった色には特色を。

光の色によって、見せたい色の雰囲気が変わってしまう。
発色のいい赤と、青を見せる為にひと手間掛けているそうです。(ここでは、ひみつにしておきましょう。)
こういう細かい事にこだわるようになってきた今は1ヶ月に1枚の制作ペースになるそうです。


下の絵のブルーにピンク色を感じますか?👇


次に

今の時代の髪の毛の表現

髪の毛の表現は、むかしはざっくりしていた。
近年見ていると、漫画のヘアの表現デザイン性が高くなってきているように感じる。
ストレートタッチの硬さ、パーマっぽい柔らかさ、直線と曲線のコントロールをコントロールして作品のソリッドな雰囲気をつくっています。
それはカラーも同じ事。自分がこれまで見てきたアニメやマンガのキャラクターの配色が、自分の頭の中に記憶として残っていて、それがその都度アウトプットされている。


人の手が加わる事がいやだ

はじめから、最後まで自分1人で作成する。

アンディウォーホルやダミアンハーストみたいに作品を商品として生産してしまっては、

それは自分としてのアートではなくなってしまう。


これまで、まだ出した事ないのないドローイング。

漫画家さんには絶対に勝てない自分が、アーティストとして今まではこれは出すべきではないと考えていました。

20年やってきて、今なら出して良いかなと思って。

作品を描くにあたっては必ず、50枚から100枚くらい描いているドローイング。

そのなかで許せる「線」ができた時にそれが大きなキャンパスへとトレースされていきます。

水彩は淡いところから塗って

アクリルは濃いところから塗っていきます。

真逆のアプローチで頭の切り替えががとても難しかったです。

自分の作品のアクリルではにじみが表現できない絵。

できないにじみや柔らかさを出したい気持ちもずっとありました。

その「やりたい気持ち」もこの20年という節目にぴったりな様な気がした。



他にも上げれば,書き切れないほどに話してくれました。

カラーリスト3人は

目を光らせ、

たまに口をはさみ、

そして耳をすまし、

聞き入ってました。



結局のところ、2時間くらいいたのでしょうか。

かなりお邪魔でしたが、色の話をこんなに聞く事ができたカラーリスト3名は満足気味に、画廊をあとにしました。



最後に

松浦さんが行っていた事で印象的な事を。


今回は「TOKYO-GA」というテーマでの個展です。

「- GA」 ー 「我」 ー 「画」 

東京は海外の人がイメージする東京になろうとしている

一昔前の「かわいい」は東京発信だった。


それがいつの間にか海外の人が好きな、海外の人発信の東京になってしまっているようにすごく感じている。


外人の人が漢字のTシャツを着ている様なイメージで、服に漢字を入れてみた。

東京は、今そういう風にかわりつつありますよね。

元気な日本人発信を表現したいなと思う。

毎回行くたびに思いますが,生で見ると色使いや、塗り方の正確さが本当にすごい。

ぜひ、生で見て頂きたいです。


松浦さん、ありがとうございました!!

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